◇今回の岡本太郎展の凄い所
大阪中之島美術館で開催している岡本太郎展に行ってきました。
個人的には90年代後半に大阪万博に興味持って、色々調べるようになり、
その後、岡本太郎の魅力に取りつかれた者です。
今回の展覧会は岡本太郎を知るという意味では大規模な内容となっています。
初期から晩年までの代表作品をほぼ網羅。川崎市にある岡本太郎美術館と、
東京青山にある太郎が住んでいた家をそのまま利用している
岡本太郎記念館に展示しているメインの作品を持って来ています。
川崎の美術館に関しては巡回展中は休館にして、作品を持って来る本気度です。
個人的にどちらも行った事がありますが、今回の太郎展に行って
びっくりしたのは、主要な展示をほとんど持って来ている事。
川崎と青山に展示する物がそりゃ無いわ。という状態です。
それ以外にも東京国立近代美術館など、各地にある作品が一堂に
会している事が過去に例がなく、今後もこの規模で見られる事は
ないのではないかと思える大規模な展覧会です。
また、戦前・戦中と過ごしたフランス時代に描いたであろう作品も。
これも貴重で、絵を売らない太郎はフランス時代の作品は
日本に持ち帰っているのですが、戦火で全て焼けてしまっているのです。
しかし、フランスに3作品残っていて、それが今回初めて公開される事となりました。
あとは当社アーツがある吹田市江坂に馴染みのある作品も。
ダスキン本社にある作品や、江坂にあったお店のカーニバルプラザのロゴも。
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実際のダスキン本社のもの 江坂豊津公園
展示会は岡本太郎の世界を全身で体感出来て、絵から力を感じられる空間になっています。
(会場内はほとんどの場所で撮影OKとなっています)
◇タローマン
皆さんはタローマンをご存知でしょうか。
ちょうど僕が美術館に行った時は「タローマンまつり」が開催されていました。
再放送世代というミュージシャンのサカナクションの
ボーカル山口一郎さんがコレクションとして持っていたグッズの
数々を展示していました。
50年前のグッズということですが、多数見ることが出来ました。
タローマンとは岡本太郎式特撮活劇で、太郎の作品に模した奇獣相手に
シュールとでたらめなやり取りで戦う内容です。
戦いやオープニングテーマには太郎の言葉である
「でたらめをやってごらん」「自分の中に毒を持て」「自分のさだめに盾を突け」
「一度死んだ人間になれ」
などなどがふんだんに盛り込まれています…。
タローマンまつりの会場で展示されたグッズを見て、
こういう声が聞こえてきました
「昔こんなんやってたんやー」「グッズの保存状態が良い」
「たくさん持ってるな」
この方々はそう思って家路に着かれました。
そして、Twitterでは「騙された」「やられた」の声が…。
タローマンは50年前に放送などしていません。
完全に主催者の思うつぼで、タローマンは今回の展覧会の宣伝の為に作られた特撮番組。
ただ、NHKも美術館も山口一郎さんも「今回の為の番組」という一切説明がありませんし、
昔やっていたテイでしか、話をしていません。
NHKのTwitterも「懐かしいですね」とか言ってますし、
今回タローマンのがNHKで放送された際、毎回山口一郎さんが
昔を懐かしんでコメントをしていますが、それも会場で流れています。
何も知らずに来た人は知らない人は騙されるかぁ。という内容です。
これが今回作られた企画だと思っている人は、展覧会で「昔こんなん
やってたんやー」という声の横で、笑いを我慢してしらふで過ごす
という状況。ドッキリに参加している感覚。
片や「昔こんなのあったのか」という人、片や「上手いこと経年劣化
させて作ったなー」と思って見る人が、真剣に展示品を見ている
という訳のの分からない空間。
ただ、インプット情報の量は一緒なんです。これは今回の企画モノと
分かっている人と分からない人の差は、太郎の事を知っているか否かの
違いというところでしょうか。
メジャーミュージシャンが自分のグッズだと言って、
経年劣化させたグッズを山ほど展示させて、展示している横で
グッズの入手が大変だったと真剣にインタビューを受けている
映像が流れ、しかもそのグッズがちゃんとした美術館に並んでいたら、
そりゃ信じるか。
まさか全部ウソだとは思わないわな。という状況。
更に言うと、このタローマンは子供達に大人気。「ばーくはつだー」と
キャッキャ言っている光景があちこちでありました。
おそらく子供達には昔やっていた番組と思って記憶されています。
大人になった時、タローマンって昔やっていた物を見た事がある。
となると思われ、更なるドッキリ企画状態になっています。
さて、このタローマンまつりですが、次の9/23~25に2回目が開催されます。
題して「タローマンまつり2号」。
岡本太郎は「同じことを繰り返すなら死んでしまえ」と
言っていますし、同じことはしないと思われます。
下記NHKサイトの「動画」や、YouTubeには本編動画がありますが、
それには山口一郎さんのインタビューはありません。
下記NHKサイトの「配信」では期間限定で全編見られます。
今後も東京、名古屋の展示会に合わせて
再放送もあると思いますので、良かったらチェックしてみて下さい。
多分ハマります。
https://www.nhk.jp/p/taroman/ts/M7359Q6PQY/
生産部門 太田