HOME > スタッフブログ > 色鉛筆の思い出

スタッフブログ

色鉛筆の思い出

片付けようと思いながらなかなか手がつけられない雑多な物置の中に、
「色鉛筆」の束があります。
長さもまちまちで年季の入ったそれは、もうずっと昔、小学生の時から少しずつ集めたものです。

6DB74551-CDAA-4D7E-856E-3883CC891322

 

昔、近所に画材屋があり、そこは物心ついた頃にはもう、私にとって憧れの場所でした。
大きなキャンバス、整然と並んだ筆や絵の具、使い方の分からない沢山の不思議な道具。
近所を通りかかる度に寄って欲しいとせがんでは、飽きずにいつまでも眺めていました。

一人でお店に通えるようになった頃、
お小遣いでもギリギリ買えて使い方のわかる画材、それが「色鉛筆」でした。

それでも、当時漫画の単行本がまだ390円くらいの時に、一本200円くらいだった記憶があります。
あの頃本当に欲しかったのは、木箱に入った美しいグラデーションの百色のセットでしたが、
それは憧れのまま。
お小遣いを片手に、バラ売りの棚から一本一本手に取って、真剣に悩んだのを思い出します。

中学に上がって、高校生になってからも、立ち寄っては少しずつ買い足してきたコレクション。
今目の前に並べてみると、なんとも偏った色のグラデーションになっています。

進路に悩んでいた時に買った、力を感じるレッド。
新しいことにチャレンジしたくなった時に目に留まった、大人びたライラック。
落ち込んだ時の心模様のような静かなグレー。
試験が終わった自分へのご褒美に選んだ、鮮やかなピーコックブルー。
その時その時、気の向くままに買ったせいで、
実際に使う段になって色が足りず、困ったことが何度もありました。

61785D8D-0B0B-4EFE-BC72-53B5A795C726

 

今はもうデジタルで、何百、何千色もの色を自由に使って、
色鉛筆や絵の具に似た風合いの絵を気軽に描くことができます。
それでも、久しぶりに手に取りながら思い返すと、
小学生の私が一番初めに買った色は、今でも一番好きな色の一つで、
なんだか笑ってしまいました。

今はもう無くなってしまったあの画材屋の棚の前に立って、
これは紙にのるとどんな色だろう、これでどんな絵を描こう、
そんな風にワクワクと真剣に選んでいた過去の私が、まだここにいる気がします。
捨てられない幸福な思い出です。

 

マーケティング部門 タハラ