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スタッフブログ

バードストライクと我が家の窓

一昨年に引っ越した我が家は、山の斜面に造成された住宅街にあります。
家の向かい側には森が残っており、住宅街でありながら、自然も身近に感じられるところです。
自宅の2階のベランダからシカと目が合ったこともあれば、子どもの通う小学校から「サルが出たので集団下校します」と通知が来たりすることも。

こんな環境なので、もちろん鳥もたくさんいます。
春になればウグイスが一日中、うるさいくらいに鳴いていますし、冬にはメジロやエナガ、シジュウカラなどの小さな鳥たちが一緒にいるところも見かけます(これは「混群」といって、違う種類の鳥が群れになり、敵やエサの情報を共有する行動なのだそうです)。
山のふもとの川に行けば、カワセミやサギはもちろん、キジと遭遇したこともあるくらいです。

自然にあふれたこの環境がとても気に入ってはいるのですが、ひとつ大きな問題が。
それは、我が家で鳥の事故が多発する、ということです。

鳥の死亡事故が発生

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はじめは、引っ越してまだ数か月しか経っていない、一昨年の12月。
朝、何気なく窓の外を見ると、ウッドデッキに小鳥の亡骸が落ちていたのです。
やさしい黄色をしたお腹を上に向けて、まるで眠っているかのような姿でした。ウグイスだったのではないかな、と思います。
「何があったんかな…病気かな…」
家族でそんなことを話し合いながら、そっと土へ還してあげました(菌やウイルスを持っている可能性を考慮し、素手で触らぬよう細心の注意を払いながら)。

ところが、その数日後、年の瀬も押し迫った日の朝。
ウッドデッキのほぼ同じ位置に、今度はメジロの亡骸が。
立て続けにこのようなことが起こると、さすがに「何かおかしい」と感じます。
メジロは、首が少し折れたような形になっていました。
それでようやく「もしや…家にぶつかってきた?事故?」と気付いたのです。

これは何とかしなきゃとあれこれ対策を考えていましたが、年が明けたお正月、3度目の事故が発生してしまいました。
実家への帰省を終えて帰ってくると、カーポートでムクドリが息絶えていたのです。

1ヶ月にも満たないほどの短期間に、あれよあれよと起こった出来事。
しかし、この3度目の後、ぴたっと事故はなくなりました。
そして季節が春、夏、秋と移り変わるうちに「もしかして鳥ってすごく賢くて、危険だってことを学んでくれたのかも!」などと、楽観的に考えるようになっていました。

衝突事故を目撃

が、しかし。
季節が巡ってまた冬がやってきたとき、それは起こりました。

昨年の12月末の休日のこと。
部屋の掃除をしていると、聞きなれない鳥の声が、すぐ近くから聞こえてきました。
鳥が遊びに来たのかな、どんな鳥かな…と窓の外に目をやった、次の瞬間。

どん!!!
窓に鳥が激突し、バタバタと暴れ回って……そのまま動かなくなってしまったのです。

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▲じっとうずくまる、コゲラというキツツキの仲間。驚かせてはいけないと思い、部屋の中からそっとズーム撮影しました。

たぶん、脳震盪のような状態だったのだと思います。
まだ生きていることは分かったので、ハラハラしながら、15分ほどは見守っていたでしょうか。
突如、ハッとしたように首を動かし、あたりをキョロキョロ見回したと思ったら、パッ、と飛び立っていったのでした。

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▲後で確認すると、ぶつかったガラスや暴れ回った場所には、小さな羽が飛び散っていました。ケガはなかったのか、心配です。無事に生きてくれていることを心から願っています。

原因は窓!事故が増えるのは鳥が多い季節だから?

この事故を目撃して確信したのは、原因は窓ガラスにある、ということです。

我が家の窓ガラスは「LOW-E複層ガラス」というもの。
これに、ミラーのような効果があるのが原因ではないか…と。mado
▲YKK APの「APW330」というシリーズの窓を使っています。カーテンを閉めた状態ではありますが、景色が映り込んでおり、明るい屋外から暗い室内はほとんど見えません。

鳥の目には、窓の向こうにも景色が続いているように見えるのでしょう。
窓であることに気付かずに飛び込んでしまうようなのです。

こういう鳥の衝突事故は「バードストライク」というのだそう。
全面ガラス張りで鏡のようになっているビルなどでは、これが問題化しているところもあるのだとか。
たとえば、森に隣接して建っている九州国立博物館(福岡県太宰府市)は、その森に溶け込むようなデザインが美しいガラス張りの建物ですが、やはりときどきバードストライクが発生するのだそうです。

そして、我が家ではなぜ冬にばかり事故が起こるか、ということですが、これはたぶん単純に「鳥がたくさんやってくる時期が冬だから」ということなのだと、1年住んでみて気付きました。
自宅周辺を歩いていても、明らかに冬になると、鳥との遭遇率が高いのです。
食べ物が少なくなってくると、人の住むエリアにまで探しに降りてくる鳥が多いのではないか…そう推測しています。

バードストライクの対策は?

では、どうすればバードストライクは防げるのか?

前述した九州国立博物館では下記のような対策をしているそうです。→参考ブログ

  • フクロウの置物を置く
  • 猛禽類の声を流す
  • ガラスの内側に野生動物の目のように見える青い光をともす

家庭で実行するにはちょっと難しいものばかりですが、「鳥が苦手なものを置く」と考えれば良さそうです。

また、他で調べたところによると、鳥が「通り抜けられない」と認識するくらいの間隔で「何か」があれば事故は減るとのこと。たとえば、

  • 窓にシールを貼る
  • 等間隔にロープを張る

我が家の窓には今のところ、景観を邪魔しない程度にマスキングテープを貼るくらいしかできていませんが、バードストライク防止用の羽を広げたフクロウのステッカーなども販売されているので、利用してみるのもいいのかもしれない、と考えています。

とはいえ我が家には、吹き抜けの高い位置に手が届かない窓もあり、上記のような方法だけではカンペキな対策がしにくい側面も。
そこで、他にできることとして「庭に鳥を呼ばない工夫」もすることにしました。

  • 鳥が食べにくる庭の木の実を収穫してしまう

鳥が実をついばむ姿は可愛らしくて、間近で見られないのはちょっと残念ですが、守るために背に腹は代えられません。

今冬は(今のところ)死亡事故が起こっていないので、これでしばらく様子を見てみたいと思っています。