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スタッフブログ

ないものねだり

まさに昨日から本格的な秋が到来しましたね。食欲の秋(通年旺盛なので秋とか関係なし)、スポーツの秋(ピラティス始めました。・・・スポーツか?!)、そして読書の秋!
書評等で気になった書籍はほぼすべて図書館で賄っているマーケティング部門の橋本です。
しかし幾人かのお気に入り作家の御本はハードカバーの単行本でお買い上げ。このたびはそのなかで10年を超えて愛読しているエッセイを紹介したいと思います。

『帰ってきた 日々ごはん〈12〉』アノ二マ・スタジオ(2022/9/26)

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筆者は高山なおみさん。東京吉祥寺のシェフを経て料理家・文筆家に。
2016年より神戸六甲に居を移し絵本作家としても活動されています。
2002年『日々ごはん①』から始まり(⑫まで刊行)、20年に渡り日々のエッセイとその日食べたごはんを綴られています。
そう、これは日記なのです。(ちなみに直近のものはブログで読むことができます。)

子供の頃からせっかちで友人から「生き急いでいる」と言われ続けてきた私(現在は加齢によるトロさでようやく人並に)ですが、なおみさんはそんな私と完全に180度真逆、もはや人としての主成分さえも違うのではなかろうかと。
彼女を取り巻く空間を流れる時間はベリースロー。
小道にキレイな虫の死骸や小枝や葉っぱが落ちていたらそっと拾い上げてお持ち帰り。
部屋に入ってきた蜂すらも慈しみながらやさしく追い出す。
そもそもマイカー持たずで最寄り駅から急坂道を20分(以上?)上ったおうちに住むとか「私には絶対無理!!」な要素がてんこ盛りなのです。
あっ!流行りの「丁寧な暮らし」推奨本ではないのでご安心を!雑族のあなたも安心して読めます。
ゆるい空気感の中で時折ハッとさせられることばやシーンがあったりして、読んでいる最中はまさに至福のひとときです。

そんな正反対の人が紡ぐエッセイに共感できるもの?と思われるかもしれません。
基本的にエッセイというものはモノの見方が同じ人のものを面白く感じることが多いかもしれません。
・・・恐らくこれは自分に欠けているものを補っているのだな、と思うのです。
それがダイレクトに私にとっての癒やし(若しくは肥やし)となっているのではないかと。

読む時間はベッドに入ってからの10分15分。
子どもの頃に過ごした神戸の街を思い浮かべながら眠りにつきます。
吉祥寺時代から愛読してますが神戸編になってから更にノスタルジックな読書タイムに。(話がそれますが、敬愛する田辺聖子大先生の『私的生活』は神戸(時々大阪)を舞台とした小説でおすすめです。)

最近疲れがたまって心がやさぐれがちなあなた!
高山なおみ本、是非手にとってみてくださいな。