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ラジオ中継で楽しむ!フィギュアスケート

2022冬季五輪真っ最中ですね!
澄み渡った空気の中、白銀の舞台でアスリートがひたむきな熱戦を繰り広げる冬季オリンピック。
昔から夏の五輪以上に、この冬季五輪の空気感が好きなマーケティング部門の田中(と)です。

今回の五輪では今までにない楽しみ方で、大好きなフィギュアスケートを味わっています。
ご覧のタイトルの通り、世間の注目が集まる五輪では、普段の大会にはない「ラジオ中継」が行われるんです!

人生の半分以上フィギュアスケート観戦を趣味としてきた私ですが、現地で観戦できない場合に楽しむ手段はほとんどテレビ中継。
最近ではYouTubeチャンネルやオンライン配信で楽しむことも増えてはいますが、映像のない中、音だけで競技を楽しむというのは初体験です。

前回の平昌大会でもNHKでのラジオ放送があったようなのですが、当たり前のようにテレビを通して楽しみ、ラジオは全くのノーチェック。
今回はじめてラジオ中継の存在を知りました。
【氷上での滑らかな動作と音楽の調和】を味わうのがフィギュアスケートの醍醐味のひとつだと思うのですが、ラジオ中継だとどこまで言葉で説明して、どこまで音楽を聴かせるんだろう?という好奇心から、休日の日曜朝に行なわれた団体戦女子シングルをラジオの実況&解説で追ってみることに。

といっても、聴いているうちに「今すぐテレビをつけたい!」という衝動にかられるだろうな……と予想し、録画しながらテレビ放送を無音でつけつつ、ラジオを聴きながらビジュアルが気になったらすぐ画面を見よう!という作戦です(笑)。

ただし、その作戦決行までには幾つかのハードルが。
まず、自宅は電波が入りにくいエリアで、いわゆる「難視聴地域」。BS放送もアンテナでは綺麗に入らないのでケーブル放送が無料で提供されているエリアです。
そのため、ラジオを聴こうとすると笑っちゃうくらいノイズだらけ。以前あちこち試したのですが、場所を変え、アンテナを伸ばしてもダメなようで……。
そこで今回は、NHKが提供しているラジオアプリをダウンロードしてアプリで聴くことに。

が、そこへ次なるハードルが。
当日発覚したんですが、テレビ中継の映像を見ながらアプリでラジオ放送を聴くと、時間差が40秒ほど発生するんです。
今思えば、録画しながらテレビ放送を40秒ディレイ再生すればタイミングは合わせられたのでしょうが、その時はそこまで思い至らず。
どうしてもリアルアイムで見たい選手のプログラムは画面でライブ視聴し、音声の情報はほぼラジオから40秒遅れ(かつ時々はテレビも音声をON)という、なかなかややこしい鑑賞スタイルに落ち着きました。

利用したのはこちら。公式Twitterのツイートを拝借します(同内容の聴き逃し配信の案内です)

こうして体験した(ほぼ)耳で味わうフィギュアスケート、なかなかに興味深い体験でした!

NHKの実況アナウンサーと、元スケーターの解説者(団体戦では元ペアの高橋成美ちゃん)が現地映像をもとに声で競技を伝えていくのですが、なんとなく映像を眺めているだけでは漫然と見過ごされそうなことも、言葉として拾い上げて届けてくれる。映像を補足する形で説明を入れるテレビ中継とは異なり、映像を声に置き換えて説明していくので、なんとなくは知っていたことも言語化されて「あ、そういうことか!」と腑に落ちたり、「なるほど~」と納得したり。そんな場面がいくつもありました。

何より面白かったのは、演技中の実況。
かなり細部まで言葉でひとつひとつ動きを語ってくれるので、その情報を耳でキャッチし脳内で「今こんな感じかな?」と立体的にイメージを思い描きながら楽しむ体験がとても刺激的でした。脳が活性化される感覚ですね。

選手がプログラムを滑っている間、実況ではまず衣装や髪型を説明し、最初のポーズを語り……
「右手の甲を頬に添わせるような仕草での滑り出しです」
「左手をしなやかに上に伸ばして、ジャンプの助走に入りました」
「右足を高ーく上げた助走から、このまま行く!アクセルジャンプ!」
「身体を波打たせてから連続のターン」
「小さくターンをしてジャッジの目の前を左から右に通過していきました」
「腰をくの字にひねりながらのステップ」
「体をかかえるようにしてしゃがみこみ、左足をピーンと伸ばしたところから…立ち上がった!スピンの速度が上がりました!」
といった調子。

動き一つ一つの説明だけではなく、「背中をそらせる動きを多く使って、大人っぽい雰囲気の振付です」と全体の振付のテイストにも言及。最後のポーズについても「背中越しにジャッジに視線を送ってのフィニッシュ」「大事なものを両手でかかえるようなポーズで終了です」といった感じで、よどみなく語っていくんですよね。
きっとこの実況前に選手ひとりひとりのプログラムを予習して、「この動きをどう言語化するか?」を考えて台本を作られたのでしょう。もし全部を当日、即興で語っているとしたら凄すぎます。実況アナウンサーさんの職人技に拍手!

そして高橋成美ちゃんの解説も的確で「なるほど!」感満載でした。
カメラが追っている対象に話を合わせる必要が無い分、滑走の合間や6分間練習のタイミングには深いところまで掘り下げて語ってくれますし、演技中も「上体を大きく逸らしながら足を動かすステップが上手な選手ですね」「ステップとの境目が分からない、トリッキーでアーティスティックなジャンプです」と選手の個性やプログラムの特徴も、光景が目に浮かぶような言葉に嚙み砕いて説明していました。

現役アスリートの頃は元気いっぱい、ハイテンションなキャラクターで愛されていた女性なので、ラジオ(アプリ)を聴く前には
「成美ちゃんの解説って、世界最高峰の選手が高難度の凄いジャンプを決めた時には絶叫しちゃったりするのでは……?」なんて思ったりもしていたのですが。いざそんな場面になってみると、やけに低い声で言葉少な。
「あれ、落ち着いてるなあ」と思っていたら、ワリエワ(あだ名は『絶望ちゃん』)の演技終了後には「正直私、解説の仕方が分からなくなってしまいました。どこで何を説明していいかわからないくらい、凄いと思って」とその理由をチャーミングに告白していました(笑)。

そうしてラジオを堪能した後は、すぐさま同じ試合をテレビ放送の録画でウォッチ。
テレビ解説担当の鈴木明子さんが高橋成美ちゃんと全く同じことを違う言葉で話している部分もあり、それもまた面白かったです。

団体戦予選は1種目10人(または10組)だけの参加なのでそう長い試合ではないのですが、ラジオの場合、実況担当者が喋り通すそのボリュームは相当なもの。
このラジオ中継は個人戦でも行われたそうで、男子シングルでは解説者として氷上の哲学者・町田樹さんが登場!
(私もこちらはまだ聴けていないので後日、聴き逃し配信で堪能する予定です!)

コロナ禍ということもあり、いつも以上に様々な波乱が巻き起こっている今回の冬季五輪。
フィギュアスケートに限らず、この舞台に賭けて来たアスリートやコーチ、各スポーツに携わるスタッフの皆さんが一人でも多く目標を達成でき、元気にこの舞台で活躍できることを願いつつ。おうちで応援しております!