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五里山の話

江坂の方から会社に向かって歩いていくと、道の正面に、青々とした緑がこんもりと茂っているのが見えます。小さいころ、近所の子供たちは皆、あの緑を「五里山」と呼んでいました。「虹のふもとには宝が埋まっている」とはよく耳にする言い伝えですが、私にとってあの「五里山」のふもとには、小さなころの懐かしい思い出が詰まっています。

五里山の傍には小さな公4E0C6E94-1B24-4FAB-BF65-58F9F5153EAB園があり、その公園、「玉の井公園」と、少し先の垂水神社の境内の辺り一帯が、子供のころの私の遊び場所でした。

「てっぺんに上ると、五里先まで見渡せる」から「五里山」。「五里」がどれくらいの距離を指すのか、当時は全く分かりませんでしたが、子供心に、なんだかすごく遠くまで見えそう!と思っていました。

玉の井公園の北側、五里山に接する部分にも、もう一つ小さな公園があります。
よく近所の男の子達が、その公園の奥の柵をくぐって、山に登っていくのを見かけました。
いつかは私も登りたい、と思いながら、なかなか勇気が出ないままでいたある日、五里山で男の子がケガをするというちょっとした事件がありました。男の子が母親に抱き抱えられ、ベンチで救急車を待っているのを、一緒に遠巻きに見ていた子供たちから、下山途中の事故だと知りました。
夏の陽が差す、いつもと同じ公園で、初めて目にする赤い血の色が焼き付いて、あの頃、家に帰れば何でも母に報告していたのに、何故か言い出せなかったのを覚えています。
それ以来なんとなしに、五里山の傍の公園には足が向かなくなりました。

数十年ぶりにその小さな公園に寄ってみると、藪が茂り、記憶の中よりも随分ワイルドな雰囲気になっていました。
昔は入りたい放題だった山側の木の柵も、侵入者を阻む頑丈なフェンスに。
夏の終わりの空気と相まって、寂しいような、もの悲しいような、ただ懐かしいような。
あの頃好きだった石の遊具だけがポツンとそのままで、それだけが少し、嬉しい再会でした。

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