プロジェクトストーリー

未知の領域への挑戦——
ギフト事業を立ち上げる

「WEBを通して価値ある商品やサービスを提供する」ことを軸に、アーツは年賀状などの印刷事業やリフォーム事業、ランドセル事業など、多彩な領域でECサイトと基幹システムを自社開発し、運営してきた。
そんな中、2020年4月、新たに立ち上がったのがギフト事業「アーツギフト(現:ギフタ)」だ。
社内でも前例のないゼロからの事業スタートが、どのようにカタチになっていったのか、そしてこれからの思いは——。
プロジェクトを代表し、3名が語る。※所属・担当業務などは取材当時のものです。

PROJECT MEMBER

  • マーケティング部門
    企画グループ
    2014年入社
    久保綾子

    WEBマーケティングの視点からアーツギフトの全体的な方針検討や企画立案を担う。現在は新たなカタログギフトの仕入れや取引先の開拓にも奔走中。

  • 開発部門
    ディレクション・コーディングチーム
    2018年入社
    原田航希

    アーツギフトWEBサイト制作の総合進行を担当。各メンバーの意見を元にサイトの仕様・設計などを検討し、各制作担当への依頼・進捗管理などを担う。

  • 開発部門
    プログラムチーム
    2019年入社
    川井智如

    注文〜発送を一元管理するアーツギフト専用基幹システムを開発。取扱商品の拡大やユーザビリティの向上を視野に、現在もシステムの改善に取り組む。

※取材当時のプロフィールです

CHAPTER 1

新たなアーツの事業の柱を目指して
未知の領域へのチャレンジがはじまった。

ギフト事業のキックオフは2019年秋。縁あってある会社のカタログギフト販売事業をアーツが引き継ぐことが決まった。右肩上がりで成長するEC市場でギフト分野は約10兆円規模、全体の約1/4を占めると言われている。そのポテンシャルをアーツのノウハウで引き出し、アーツの新たな事業の柱とするために、未知の領域だったギフト分野への挑戦がはじまった。
ギフト事業の立ち上げのために、マーケティング部門をはじめ、ディレクター、WEBデザイナー、プログラマーなど開発部門からメンバーを選抜。プロジェクトチームが結成された。

原田 WEBサイト制作の全体の進行を担うディレクターとして参加しました。これまで既存サイトのリニューアルなどでディレクションの経験はありましたが、ゼロからサイトを立ち上げるのははじめて。不安がないと言えば嘘になりますが、自分自身を高める機会とも捉え、「ギフト事業を絶対にカタチにしたい!」という思いを強く持って臨みました。

川井 これまで既存システムの改良などは経験してきましたが、入社2年目でゼロから基幹システムの開発を担当できるとは思ってもいませんでした。参加の打診があった時は、挑戦の結果がどうであれ、エンジニアとしてひと回り大きく成長できるのは間違いないと感じました。

久保 クレドにもある通り、何事にも挑戦をする気持ちをアーツでは大切にしています。最初はコンセプトを決めるミーティングからスタートしましたが、たくさんの意見やアイデアが出ました。私を含め、メンバー全員がポジティブな気持ちでディスカッションに取り組んでいたことは特に印象に残っています。

カタログギフトを探し、注文するお客様にとって、どんなサイトであるべきか。ミーティングを重ねる中で、次第にサイトのコンセプトや設計、求められる基幹システムの仕様が見えてきた。

原田 アーツの他のサイトと同じように、価格や最短納期でメリットを出すことは大前提に、アーツの強みを活かし、競合サイトとは違ったコンセプトで差別化を図りたいと考え、メンバーとは何度も話し合いました。

久保 カタログギフトは便利な商品ですが、受け取る人によっては手を抜いたと思われることがあるじゃないですか。それを払拭したくて、カタログギフトだけど、「あなたのために選んで贈りました」という贈る側の気持ちを込められるサイトにしたいね、という結論に至りました。年賀状をはじめとしたアーツの印刷ノウハウを活かせば、オリジナルの包装紙で贈ったり、自分で編集したメッセージを添えたりもできます。そうして競合サイトとは一線を画す、「想いが伝わる」「みんなが笑顔になる」といったコンセプトキーワードが生まれたのです。

川井 ミーティングを通して事業やサイトの方向性が見えはじめると同時に、私は注文後から出荷、入金までのオペレーションをどのように行うのかを検討。注文後に商品・包装紙・熨斗(のし)・メッセージ・宛名を1セットとした注文指示書が生産部門に届き、ミスなくスムーズに作業が進むような一元管理できる基幹システムの設計に取り組みました。メンバー誰もがはじめての経験で、何が正解なのかわからない中で、生産部門はもちろん、協力会社のシステムエンジニアとも連携を取り、ベストなシステムを模索し続けました。

CHAPTER 2

プロジェクトのスタートからわずか半年で
サイトのリリースまでたどり着く。

プロジェクトの各メンバーがWEBサイトや基幹システムの立ち上げに向かって動く中、アーツギフトのリリースは、キックオフから半年後の2020年4月に設定した。

原田 新サイトの立ち上げとしては、かなりタイトなスケジュールです。実装したい機能やデザインへのこだわりはたくさんありましたが、それよりも優先して、まずはアーツギフトのコンセプトや強みがお客様にどう届くのか、市場の反応を見たくて、この時期に設定しました。

川井 基幹システムについても、受注が入ってから本当に問題なく稼働できるのかを少しでも早く確認したいと思っていました。開発期間は短かったですが、上司や先輩、協力会社のサポートもあり、なんとか間に合わせることができました。

久保 リリース時期が決まり、私はサイトのプロモーションの計画を進めました。価格面でのメリットを出す以上、ギフト1点でそこまで高い利益率を出すことはできません。そのため、広告費を掛けるよりも、コンテンツマーケティングでの集客を中心に考え、ギフトに関するHOW TO記事などを準備しました。

*コンテンツマーケティング…SEO対策を視野に入れ、記事制作をはじめとした自社のコンテンツを用いて認知度アップや顧客の開拓を狙うマーケティング手法

予定通り2020年4月、アーツギフトのWEBサイトをリリース。当初の反応はどうだったのか——。

川井 受注はリリースから待ちに待って2ヶ月後でした。その時はあまりにうれしくて、出荷の現場まで行って商品の発送まで見届けました(笑)。

原田 コンテンツマーケティングでの集客は半年から1年は掛かると言われています。初受注までの間は「注文はいつ来る、いつ来る…」と毎日ドキドキしていました(笑)。ただ、コンテンツマーケティングの成果もあって、記事へのアクセス数は増え続けていましたので、受注がなくてもその数字が心の支えに。「この伸びなら、いずれ必ず」という手応えはありました。

久保 受注にある程度の時間が掛かってしまうことは想定内でしたが、初受注を聞いてほっとしました。当初は記事へのアクセス数を目標月間4万セッションにしていましたが、数ヶ月後には月間数十万セッションに。想定以上のアクセスもあって、受注はどんどん伸びていきました。

CHAPTER 3

リリースはあくまでスタート地点。
さらなる機能・商品・サービスを加えリニューアルを。

リリース直後は出産祝いだけだったが、出産内祝い・香典返し・法人向けと贈るシーンに合わせたサイトを数ヶ月ごとに加えた。さらに、2021年7月にはサイトを全面リニューアル。カートや基幹システムなども全面的に見直した。

原田 市場の反応を見るためにリリースを早めに設定しましたが、受注の伸びを見て、アーツギフトがお客様のニーズに合っていたことが確信できました。そこで、実装できなかった機能などを導入し、サイトのリニューアルを行いました。特に力を入れたのはカートシステムですね。当初は既存の一般的なカートシステムを導入していたのですが、ギフトの細かな仕様に対応するには限界があり、自社開発のカートシステムを導入することにしたのです。

川井 カートシステムのオリジナル化は、商品ごとに可能なラッピングはどれか、贈るシーンで選べる熨斗はどれか、複数の宛先をどうすれば管理しやすいか…といった、お客様のユーザビリティに関わるさまざまな条件設定を盛り込んだ設計に。また、今後商品ラインナップが充実してもシステムが問題なく稼働するよう、事業の将来を見据えた汎用性も心掛けました。

久保 私は引き続きコンテンツマーケティングに注力すると同時に、魅力的な商品を揃えることにも取り組んでいます。価格のメリットだけではなく、掲載するカタログの価格帯やジャンルの幅広さ、質にもこだわりたかったのです。また、アーツのランドセル事業と関連させ、「アーツセレクション」として豊岡鞄に関するギフトを作るなど、自社制作のカタログギフトも視野に入れた、オリジナリティあふれる商品でも、他社との差別化が図れるはずです。ゆくゆくは「ギフトを贈りたい時はここに来れば大丈夫」とお客様に思っていただけるサイトにしていきたいと考えています。

CHAPTER 4

未知の領域への挑戦で得たものを
次へとつなげるために——。

アーツの事業はただWEBサイトを立ち上げるだけではない。その本質は各部門のあらゆるノウハウを駆使し、連携させることで、WEBを通じたビジネスモデルを確立させることにある。ギフト事業を通して、各メンバーも大きく成長できたと話す。

川井 システム設計の一連の流れに関わる中で、各部門のニーズを聞き、どうシステムに落とし込むのかを常に意識して開発に取り組みました。最初は設計のやり直しも多かったのですが、先輩や協力会社のサポートもあり、次第に知識とスキルを身につけ、今では要望に対してこちらから「この設計でどうですか」と提案できるように。一人のエンジニアとして習熟する一方で、自分の領域以外の分野にも興味を持つようになり、視野がぐっと広がったように思います。この貴重な経験やノウハウを所属部署内に展開していくことが、今後の自分の役割だと考えています。

久保 今回のプロジェクトはアーツの新たな挑戦であり、それがカタチになっていく醍醐味を何度も感じることができました。また、今は取扱商品の拡大のために取引先との交渉を行うなど、個人的にも仕事の幅が広がりました。このプロジェクトで得た知見やノウハウをモデルケースとして社内で共有し、次の新たな事業の取り組みに活かせればと思います。加えて、事業を進めていく上で的確な判断ができるようになることも目標であり、役割であると思っています。

原田 タイトなスケジュールの中で事業の立ち上げやリニューアルを経験してきましたが、このプロジェクトへの参加当初から「どんなことがあっても絶対にあきらめない!」と心に決めていました。そんな思いに応えてくださったメンバーはもちろん、周りの先輩・同僚のサポートには本当に感謝しています。でも、これで終わりではありません。事業規模がどんどん大きくなる中で、アーツのビジネスの柱となるまで走り続けたいと思います。そして今回のように、WEBサイトだけではなくビジネスモデルをゼロから立ち上げる面白さを知った以上、今後も新たな事業へ積極的に挑戦してみたいと考えています。